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コンプライアンス リスクとは
コンプライアンス リスクの定義
コンプライアンス リスクとは、組織が外部規制、業法、社内規定を順守できない場合に直面する、法的、財務的、および評判上の脅威を指します。コンプライアンス リスクの結果として組織が対処しなければならない可能性のある情報漏洩や潜在的な悪影響は深刻です。
関連する法律や規制へのコンプライアンス違反は、組織の業務、評判、および全体的な価値に重大な影響を及ぼす可能性があります。
コンプライアンス リスクを回避し、軽減するためのベスト プラクティスには、以下のようなものがあります。
- コンプライアンス リスクに関する方針の策定と実施
コンプライアンス リスクのあらゆる側面を網羅する詳細な方針を策定し、定期的な見直しを組み込み、発展し続ける規制環境の変化に方針を適合させます。 - サイバー リスクの基準と枠組み
法的要件とは別に、さまざまな業界基準がコンプライアンス リスク管理において重要な役割を果たします。政府機関以外の組織には法律で義務付けられていないとは言え、多くの場合、これらの基準は契約上の義務やベスト プラクティスにとって重要です。
これらの基準は業界におけるベンチマークとして、堅牢なセキュリティ対策と効率的な業務遂行のための実証済みの指針を提供します。コンプライアンス リスク管理の取り組みを促進するサイバー リスクの枠組みには、以下のようなものがあります。- CIS Controls
- COBIT
- FAIR
- ISO / IEC 27001および27002
- ITIL(Information Technology Infrastructure Library)
- NISTサイバー セキュリティフレームワーク(CSF)
- OCTAVE
- 従業員トレーニングとコンプライアンス リスクの認識
従業員一人ひとりが、組織が直面するコンプライアンス リスクと、コンプライアンスを維持する上での各自の責任を理解する必要があります。定期的に講習会を実施し、適時に最新情報を提供することで、コンプライアンス リスクの認識を重視する企業文化を浸透させます。これにより、隠れたコンプライアンス リスクの特定も可能になります。 - コンプライアンス リスクに関するインシデント対応と報告
コンプライアンスに関するインシデントが発生した場合の対応計画を策定し、報告計画を明確に定めておきます。この計画には、コンプライアンス違反を関連当局に報告し、影響を受ける関係者に通知してコンプライアンス リスクを回避するための手順を詳細に記載する必要があります。 - リスク評価と分析
リスク評価を実施して、組織内のコンプライアンス違反の可能性がある領域を特定します。そのためには、データの移動経路の明確化、さまざまなデータ カテゴリーに対する規制規定の理解、一般的なセキュリティ対策の分析が必要です。この体系的なアプローチにより、組織は脆弱性に対して事前に対処することができ、堅牢なコンプライアンスを確保し、データ侵害の可能性を軽減することができます。 - サイバー リスク管理のためのテクノロジーとツール
機密情報の識別と分類、コンプライアンス リスク レポートの作成、継続的な監視など、コンプライアンス リスクに関連するタスクを自動化するソリューションを活用することで、組織のコンプライアンス体制と厳格なコンプライアンス基準を維持する能力を向上させることができます。
コンプライアンス リスクの種類
コンプライアンス リスクには、いくつかの異なるカテゴリーがあります。組織は、関連するすべての規制や基準を確実に順守するために、これらのコンプライアンス リスクの微妙な違いを理解する必要があります。多くの場合、コンプライアンス違反は多額の罰金、法的問題、および評判の低下につながるおそれがあります。
契約上のコンプライアンス リスク
契約上のコンプライアンス リスクのカテゴリーには、顧客、従業員、契約社員、ベンダーとの契約で定められた義務が含まれます。たとえば、クラウド サービス プロバイダーは、データ セキュリティやプライバシーに関する特定の基準を順守するよう契約で義務付けられている場合があります。こうした契約条件に違反すると、組織はコンプライアンス リスクに直面することになります。
国境を越えたデータ転送のリスク
グローバルに事業を展開する組織は、国際的なデータ共有を規制する法律を順守する上で、大きな課題に直面しています。たとえば、欧州連合から米国にデータを移動する際には、標準契約条項(SCC)や拘束的組織準則(BCR)が適用されます。
サイバー セキュリティ ポリシーのコンプライアンス リスク
ポリシーのコンプライアンス リスクは、組織の社内方針や手順の順守不履行に関連しています。これらのコンプライアンス リスクに関するガイドラインは、アクセス制御、インシデント管理、パスワード管理、BYOD(Bring Your Own Device)プロトコルなど、サイバー セキュリティのさまざまな側面を網羅しています。
データ保護およびプライバシーに関するコンプライアンス リスク
欧州連合の一般データ保護規則(GDPR)やカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)などのデータ保護規制の導入に加え、世界中で類似の法律が制定されたことにより、組織が個人情報を取り扱う際のリスクが高まっています。組織は厳しい要件を満たすために、データの処理、保存、管理において厳格な業務遂行を徹底しなければならないため、これは管理が難しいコンプライアンス リスクです。
このような種類のリスクを回避するためには、組織はユーザーから明確な同意を得て、収集および保存するデータの量を最小限に抑え、ユーザーが自身のデータにアクセスし、削除を要求する権利を確保する必要があります。
新しく登場し、進化するテクノロジーのコンプライアンス リスク
人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)などの新たな技術の急速な導入は、コンプライアンス リスクの増加につながります。新技術の脆弱性を評価し、サイバー セキュリティ保護を慎重に実施するための対策を講じる必要があります。
業界特有のコンプライアンス リスク
特定の業界に固有の規制や基準を順守しないと、コンプライアンス リスクが発生します。各業界は、多くの独自の基準や法律を順守しなければなりません。
たとえば、カード会員のデータを処理する組織は、ペイメント カード インダストリー データ セキュリティ基準(PCI DSS)に従う必要があります。一方、医療機関は、患者の健康情報を保護するために米国における医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令(HIPAA)に従う必要があります。
法的コンプライアンス リスク
法的コンプライアンス リスクのカテゴリーでは、データ保護、プライバシー、情報セキュリティに関する法規制に従わないことによる危険性に焦点を当てています。GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などの規制は、厳格なデータ保護およびプライバシー指令によって、個人情報の取り扱いに関する厳格なルールを定めています。コンプライアンスには、データの処理と保存がユーザーの同意に沿うようにすること、最小限のデータ保持を維持すること、データへのアクセスと削除の権利を提供することが含まれます。
サード パーティおよびベンダーのリスク
組織がサード パーティのベンダーやサービス プロバイダーに依存する度合いが高まるにつれ、これらのパートナーの行動に関連するコンプライアンス リスクも高まります。組織は、ベンダーが該当する規制を順守していることを確認する必要があります。
コンプライアンス リスクの評価
コンプライアンス リスクを理解することは、リスク軽減戦略によってリスクに対処するための重要な第一歩です。コンプライアンス リスクを評価する際の主な要素には、以下のようなものがあります。
コンプライアンス要件と不備を特定する。
既存のセキュリティ ポリシー、プロセス、および管理を、適用される規制要件に照らして徹底的に検証します。組織の業務遂行がコンプライアンス義務に沿っていない、または強化すべき領域を特定します。
特に機密情報を取り扱う、または機密情報にアクセスするサード パーティのベンダーやパートナーのコンプライアンス体制の評価は必ず行います。これには、セキュリティ ポリシーの審査、監査の実施、契約上の合意事項にコンプライアンス リスクの義務が含まれているか確認することが含まれます。
コンプライアンス リスク要因の影響と発生確率を測定する。
リスクが問題となる可能性と、業務の中断、罰金、訴訟、評判の低下などの関連する結果を図で示したコンプライアンス リスク マトリクスを作成します。
コンプライアンス リスクに優先順位を付ける。
影響/確率マトリクスに基づいてコンプライアンス リスクを評価します。この際には、コンプライアンス義務の複雑性と、既存の管理または新規の管理の有効性を考慮する必要があります。
コンプライアンス リスク評価を文書化する。
コンプライアンス リスク評価の結果を文書化したレポートを作成します。このレポートには、プロセス、各ステップでの調査結果、最終決定の根拠を含める必要があります。
コンプライアンス リスクの例
ペイメント カード データの侵害
カード決済を処理する組織が、ペイメント カード インダストリー データ セキュリティ基準(PCI DSS)のセキュリティおよびプライバシー要件を満たさない場合、決済処理サービスへのアクセスを失うリスクや罰金が発生するリスクがあります。
汚職
コンプライアンス リスクは、不法行為(詐欺、盗難、贈収賄、資金洗浄など)に起因する汚職という形で現れることがあります。これは、悪意のある内部関係者の違法行為や、組織のサイバー セキュリティ対策の不備が原因であることがよくあります。
個人情報のプライバシー権の侵害
GDPRとCCPAは、個人情報の取り扱いについて厳格な義務を課しています。不順守の結果を引き起こすよくある原因としては、データ保護戦略の不備、不透明なデータ処理業務、データ主体の権利を尊重しないことが挙げられます。
保護医療情報(PHI)の未認証の開示
保護医療情報(PHI)の安全な管理を確保できない医療機関は、HIPAA規制に関連するコンプライアンス リスクに直面します。
コンプライアンス リスクをうまく回避する
組織が最優先事項として多層的な戦略に取り組めば、コンプライアンス リスクの管理と制御は可能です。つまり、常に変化する規制環境を注意深く監視し、それに応じて技術制御と社内ポリシーを調整する必要があります。このプロセスには、外部の法的および規制上の基準を満たすだけでなく、社内ポリシーを順守することも含まれます。
コンプライアンス リスクを認識し、対処するためには、リスク評価、監査、スタッフのトレーニングを定期的に行うことが重要です。コンプライアンス リスクに効果的に対処することで、最終的に得られる効果は法的および財務的な影響を回避するだけにとどまりません。組織のセキュリティ体制を強化し、IT資産を保護し、維持することにつながります。